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子どものチック体験談|本人・親・兄弟のストレス

  • 2020年4月11日
  • 2020年4月20日
  • こども
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子どもが年少の頃、目をギュッとつぶるクセがついたと思ったら、次は黒目を上にむけて左右にクリックリッと動かすように。眼科に連れて行くと「チック症」と言われました。

息子が妙な動きをくり返しているのを見ると「いったい、いつ治るの?!本当に治るの?!」と、とにかく不安でいっぱいでした。

いまお子さんのチックで悩んでいるご家庭に、この記事が少しでも参考になればうれしいです。

チックとは

本人の意思とは関係なく、体の動きや発声がくり返しおきてしまう症状。

運動チック…鼻をぴくぴくさせる・顔をゆがめる・首をふる など

音声チック…咳払い・鼻や舌を鳴らす・アッアッという叫びや単語を連発する・相手の身振りや言葉をまねてしまう など

4~11才頃の男児に発症することが多く、ほとんどは1年以内に消えます。一部のお子さんは、小学校高学年まで徐々に症状が強くなることがあります。

ほとんどは青年期に入ると減少し、やがてなくなります。まれに成人期までチックが残る場合もありますが、目立たなくなります。

原因は解明されていません。ドーパミンなどの神経伝達物質の未発達が原因と考えられています。強いストレスや疲労により悪化しやすく、心身ともに落ち着いているときは改善する傾向にあります。

日常生活に支障がなければ、治療は行われないことがほとんどです。叱責したり、症状を指摘しすぎると、子どものセルフイメージの低下につながります。チックによるストレスを減らす環境を整え、安心させてあげることが大切です。

子どものチック体験談

年少|発症

子どもが年少の頃、まばたきをギュッと強くすることが増えました。「目、かゆいの?」と声をかけると、「かゆくない」との返事。

目が赤くなってもいないし、めやにも出ていないので、結膜炎とかではなさそう。

しかし数日たっても強いまばたきは治まるどころか、回数が増えていきました。

「やっぱりかゆいんじゃない?」「かゆくないよ」「病院に行きたくないから、かゆくないって言ってるんじゃない?」「かゆくないもん!」

そんなやり取りを何度か続けているうちに、強いまばたきがなくなり、かわりに黒目を上に向けて左右にクリッ、クリッと動かすようになりました。

その異様な動きに、いやがる息子を無理やり眼科に連れていきました。

眼下医によると「目に異常はないのでチック症だと思われます。小さい子には多いんですよ。自然に治るから気にしなくていいですよ」とのこと。

夫とじーじばーばにも、息子がどうやらチックらしい、大きくなれば自然に治るらしい、指摘しないほうがいいらしいので協力してほしい、と伝えました。もちろん承諾してくれました。

息子には、身体が勝手に動くのは子どもにはよくあること、病気ではないこと、大人になるまでには自然に治るから大丈夫、と安心できるように話しました。

自然に治るといわれても、我が子が目の前でおかしな動きをくり返していたら、とても穏やかではいられません。

チックについて調べると、「ストレスが原因」という考えが当時は多く、なにがいけなかったのだろうと悩みました。

幼稚園の担任と園長先生に相談すると、「よくあることだから、気にしないで大丈夫よ~」と、とても明るく返されました。いま思えば、わたしがとても深刻な表情で伝えたので、あえて明るく接してくれたのかもしれませんm(__)m

それから息子のチックは、何度か動きを変えて続きました。

ブタのように鼻をフゴッ・フゴッと鳴らす時期もありました。

しゃっくりをする時期もありました。

腰を横にカクッとスライドさせる動きのときもありました。

息子自身がチックの動きをやめようとすると、他の動きが始まるようでした。

心配だったので、小児精神科のある病院へ行きました。わたしと夫から医師に経過を話し、次に医師と子どもだけで軽い検査と問診がありました。その結果、体に病気はなく、軽いチックのため通院しなくてもよい、とのことでした。

ママ友の何人かは息子の変化に気付き、「〇〇ちゃん、目かゆいんじゃない?」「どうかしたの?」などと声をかけてくれました。わたしはその都度チックについて説明し、仲の良いママ友には、不安な気持ちをたくさん聞いてもらいました。

幼稚園の友だちは気にする様子もなく、いつも通り遊んでいました。はやしたてられることも、まねされることも、不思議なくらいありませんでした。

いくら幼稚園の子どもでも、友だちがおかしな動きをくり返していたら気付くはずです。「〇〇ちゃん、へんな動きばっかりするー」と。きっと先生やママ友が「クセなんだって。そのうち治るから、言わないであげてね」「病気じゃないから心配しなくて大丈夫だよ」と、話してくれていたのだと思います。

チックは1年近く続きました。そしてある時、回数が減っていることに気が付きました。

年長~小学校2年生|小康状態

チックはほとんど消えましたが、黒目を左右に動かすチックや、腰を片側にカクッとスライドさせるチックが何度かでました。

そのたびに、またチックが始まったと、とてもヒヤヒヤしました。幸いなことに、どちらも回数が少なく、数週間で収まったので本当にホッとしました。

春先や冬にチックがでることが多かったので、花粉症や乾燥肌のせいで、かゆみが気になるうちにクセになるのかな、と思うこともありました。

小学校3年生|骨折を機にチックが悪化

息子は小学校3年のときに、公園で派手に転んで片足を骨折しました。1ケ月近くたってギプスが外れた頃、急にチックがでました。

腰を左右どちらかにカクっとスライドさせる動きです。今までよりずっと大きくカックーン!と動くようになり、かなり目立ちます。

久しぶりで、しかも激しいチックに驚きました。

ふだんは公園で遊んだり、サッカーチームの活動に参加したり、活動的な息子。骨折してからは、代わりにおもしろいマンガやアニメを見つけたりして、それなりに楽しんでいるように見えました。

わたしがお風呂を手伝うときは、久しぶりのスキンシップにお互いキャッキャとふざけあい、たくさん笑っていました。

それでもきっと不便はたくさんあっただろうしストレスが溜まったのかもしれない、完全に回復したら落ち着くだろうと、そのときは軽く考えていました。

ところが1~2ケ月たってもチックはおさまりませんでした。とても心配になり、学校の児童心理士の先生に相談しに行きました。そして、幼稚園からの一連のチック症状について詳しく伝えました。

それからは担任の先生、児童心理士の先生、他の先生方も、息子の学校での様子を気にかけてくれることになりました。

その結果、学校ではチックの回数が少ないためあまり目立っていないこと、友だちや先生との関係も良好だとわかりました。

その後も何度か面談に行きました。面談の大きな利点は、話すことで気持ちがラクになる、客観的になれる、学校の様子がわかる、という点です。欠点は、面談のために仕事を早退したり遅刻したりする必要があること、解決策が得られるわけではない、ということです。

引き続き学校での様子をみてもらい、変化があったら連絡をしあうということで、面談はいったん終了となりました。

息子はげんこつを腰にあてて、動きを止めようとするようになりました。動きは小さくなりましたが止めきれず、小さく身体をつっぱる動きと咳払いのセットが始まりました。

それから身体の動きは消えていき、かわりにしゃっくりのような声のチックが増えていきました。

小学校4~5年|声のチックがピークに

幼稚園のときよりも声のチックは大きく、今までのどんな動きよりも目立ちました。

声は何回か変化しましたが、どれもしゃっくりをアレンジしたような感じでした。

家でテレビを見ている時が一番回数が多く、テレビの音がよく聞こえないほどでした。正直うるさいと思うこともありました。

布団に入ってからも、眠りに落ちる瞬間まで声がでています。声がきこえなくなると、眠ったことがわかります。

息子の場合、リラックスしている時ほどチックが多くでました。逆に、緊張している時ほどチックが増える子もいるそうです。

学校では少しチックが減るとはいえ、近くの席の子には本当にうるさかったと思います。けれども苦情がくることもなく、いじめられることもありませんでした。友だちに恵まれて、本当に幸いでした。

この頃、息子の双子の兄弟は、習い事で知り合ったばかりの何人かに「兄弟、病気なの?」ときかれたそうです。兄弟は「あれ、クセなんだよ。気にしないで」と伝えていたそうです。そのおかげか習い事の友だちとも、楽しくつきあえていました。

いちばん非情なのは、電車やバスに乗ったときの周囲の大人の反応でした。怪訝な顔で息子をなんども見たりする人や、うるさそうに舌打ちする男性までいました。

息子や友だちはそんなことには気づきもせず、楽しそうにおしゃべりしていたので救われました。

学校参観で様子をみると、 チックの回数も声の大きさも 、家にいるときよりは控えめでした。特に学芸会や合唱祭では、 一生懸命チックをガマンしている様子で、 小さくピクッピクッと動いていました。

やがて、しゃっくりのような目立つ声は咳払いに変化し、しだいに回数が減っていきました。

小学校6年~中学~高校|症状なし

以降、チック症状は出ていません。

いま振り返ると、初めてチックがでた時期も、ピークの時期も、典型的な例にあてはまっていることに気付きました。

息子が高校生になった今、自分のチックに気付いていたか、どう感じていたか聞いてみたいです。でもそれを機に、万が一チックが再開してしまったらと考えると、とてもこわくて聞くことができません。

本人のストレス

息子はチックについてあまり話したがらなかったので、わたしも無理には聞かないようにしていました。

急にチックの動きが変わったことが2~3回あり、「誰かになにか言われたのかな?」と思ったことがありました。学校ではチックをガマンしている様子もあったし、気にはしていたはずです。ただ、 悩んだり落ち込んだりする様子はありませんでした。

家ではリラックスできるよう、チックは指摘せず、小言もできるだけ言わないようにしていました。

親のストレス

わたしは息子のチックを見るのが、とてもつらかったです。妙な動きを繰り返す息子が、とても痛々しく感じました。

当時、チックについて調べたときは「ストレスのせい」という記載が多くありました。そのため、なにがストレスなんだろう、なにがいけなかったんだろう、とたくさん悩みました。

チックになったのは、ダメな母親だから、家庭になにか問題があるから、といわれているような気がしました。周囲にもそう思われているかもしれないと、恥ずかしくもありました。

わたしが過干渉だったのだろうかと反省し、口出しを控えたり、息子の言動を認める声かけを増やすよう気を付けました。

いずれは消えるのだから心配することはない、とわかっていても「ひどくなったらどうしよう?!」「いつ治るんだろう?!」と不安になり、落ち込むこともありました。

兄弟のストレス

双子の兄弟にはチックはでませんでした。心配しないよう、チックは自然に治るから大丈夫、指摘しないであげてね、と話していました。友だちと同様、あまり気にしている様子はありませんでした。

ただ、声のチックがピークの頃には、息子がいないときに「ほんとにうるさい!」「電車の中で恥ずかしい」と言うことがありました。

一緒にいる時間が多いこともあり、兄弟にとっては本当にうるさく、時には恥ずかしいこともあったことでしょう。

「うるさいよね、ごめんね」「いつもフォローありがとね」 と、兄弟の愚痴はとがめずに聞いてあげるようにしていました。

まとめ

今のところチックに特効薬はありません。短期間で消えることもあれば、長いつきあいになることもあります。

はじめは他の人と違う動作に、本人も周囲も戸惑うかもしれません。

まずはチックについて正しい知識を伝え、安心してもらうことが大切だと思います。

息子はチックを気にする様子はありましたが、深く落ち込むことはなく、学校も習い事も元気に通っていました。たくさんの友だちと、学校や習い事の先生方の理解やフォローがあったおかげだと思っています。

親は心配になるのはもっともですが、できるだけ子どもの症状に一喜一憂することなく、おおらかに構えていたいものです。

あなたとお子さんが一緒にチックと付き合い、やがて乗り越えていけることを信じて応援しています。

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